ザクロはこんな果実です

ザクロ属には二種しかないので、ほとんど単一タイプの属といってもいいでしょう。

Punica granatumとPunica protopumicaの二種だけですが、後者はソコトラ島(アラビア半島南方のインド洋上の島、イエメン民主人民共和国に属している)原産であるらしいですが、栽培されたことはないようで、はっきりしたことはわかっていません。

ザクロはもともと低木ですが、暑い地方では6mほどにもなり、ちょっとした高さになります。

根元から芽を生じやすいです。

小さな長円形の葉は、つやつやして美しい緑色をしていますが、縁にぎざぎざはありません。

秋になると葉が落ちます。

がくは赤いつりがね形で、先が細く分かれていて堅いです。

がくは開花が終わっても落ちず、果実といっしょに成長します。

花はこわばった細い花弁でできています。

ふつうは緋色ですが、白いものもあり、短命であります。

観賞用にのみ使われている八重咲きもありますが、これは雄しべが突然変異によって変化したもので、ほかの植物にもいえることであるのですが、これは不稔(花がさいても種子を作らないこと)です。

宝石のような種子

ローマの大プリニウスは、ザクロをカルタゴのリンゴ(malum punicum)と呼んでいました。

このことから、ローマへはカルタゴ(アフリカ北部、現在のチュニス近くにあった古代都市国家。B.C.9世紀中ごろの建国ですが、B.C.146年、ポエニ戦争の最終戦でローマ軍に滅ぼされた)を通して伝わったものらしいことがわかります。

しかし、大プリニウスの使ったカルタゴにちなんだ名も忘れられ、「宝石のような種子」または「粒(grains)」に関連した名に変わっています。

スペインの「グラナダ」は、ザクロが多く実るということからつけられた名です。

リンネだけがカルタゴに敬意を表して、属名にしています。

薬としてのザクロの効用も、今では忘れられています。

フィレンツェのジョバンニ・メディア(1467~1498年)と結婚したカテリーナ・スフォランッァの料理の本に、次のことが記されています。

「イラクサ、セージ、ヘンルーダ、オトギリソウの根と、ザクロの果皮を、1.5リットルのワインで3分の1の量になるまで煮つめる。

この液で歯をみがくとよい」。

これはザクロの収敏作用、セージの漂白作用を利用して作った歯みがき水です。

聖なる果実

ギリシアの医師ガレノスは、ザクロをロイアス(roias)と呼び、薬として使っていました。

根は駆虫剤として、葉や花は血を清める薬として、果汁は清涼飲料として、特に果皮には強い収敏作用があるとして用いられていました。

その後、6世紀に、ギリシアの医師アエシウスはザクロから化粧品を作りだしています。

聖書にもザクロは何回もでてきています。

旧約聖書の雅歌では、ザクロは「恋人の頬、甘さ」にたとえられています。

B.C10世紀にイスラエルの王ソロモンの神殿の飾り物を造るよう命ぜられたヒラムは、神殿前の廊下の柱の柱頭を200個のザクロのしんちゅう細工で飾りました。

また、ヘブライ人の高級司祭は、ザクロの模様を織り込んだ礼服を着ていました。

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ザクロ類 その2

ザクロは、哲学者プラトンの『律法』や、『ホメロス賛歌』にも書かれています。

これは、大地の女神デメテルの娘ペルセポネが、死者と冥府の神ハデスにかどわかされた様子が書かれているものです。


「デメテルは必死に娘を探し求めたが、地上では見つからなかった。

その間、大地は荒れ、畑の作物はすべて枯れてしまった。

ついにデメテルは、ペルセポネが地下の国にいることをつきとめたが、ゼウスとの約束をやぶってペルセポネはザクロの種子を4個食べたので、地上へもどることはできなくなってしまった。

デメテルとハデスが話し合い、ペルセポネは1年のうち冬は冥府で、残りは地上の母のもとで暮らすことになった」


・・・というのがあらすじです。

このデメテルの感情から人間が春は喜びを、冬には悲しみを感じるようになったといわれています。

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ザクロ類

ザクロは南の温暖な地方で、霜がほとんどないところに生育する果実です。

原産地はペルシア、アフガニスタンであろうとされています。

ザクロはかなり昔に、西アジアから地中海地方へ伝えられた証として、B.C.2500年ごろのエジプトの墓石に描かれているものがあります。

ザクロは形が珍しいことと、真っ赤な果肉に宝石のように埋めこまれている種子が多いことから、どこでも豊かさの象徴になっていました。

古代ギリシアでは、ザクロをロイア(roia)と呼んでいました。

また、『オデュッセイア』などの詩ではロイエ(roie=ザクロの木、実)となっています。

哲学者アリストテレスもザクロについて記しています。

同じ名を木にも果実にも使っていますが、果実については、悲劇詩人アイスキュロス、喜劇詩人アリストファネス、歴史家ヘロドトスの作品にも見られます。

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